この記事の目次
ダイバーシティ経営とは
ビジネスのグローバル化に対応するため、グローバル人材の確保とともに、グローバルビジネスの社内土壌を作る経営として注目されているダイバーシティ経営を分かりやすく説明します。
ダイバーシティ経営は、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげる経営」と経済産業省が定義しています。
もともと、ダイバーシティは多様性を意味します。つまり、ダイバーシティ経営は、多様な価値観をもつ人材を集め、その能力を活かすことにより新しい価値を創造する人材活用戦略で、グローバル化する経済で日本企業の競争力強化を図る戦略として経済産業省が推進しています。
ダイバーシティ経営の目的と成果
今なぜダイバーシティ経営が、注目されているのでしょうか。
ダイバーシティ経営の目的や期待されている成果から見ていきましょう。
ダイバーシティの目的
ダイバーシティ経営の目的は、多様な人材を雇用し、意欲的に仕事に取り組める職場風土や働き方の仕組みを整備することを通じて、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮させることによグローバルビジネスに対応できるようになることです。
ダイバーシティ経営の4つの成果
ダイバーシティ経営によって、期待されている主な成果は4つあります。
- 人材の確保
- 多様なイノベーションの創出
- ビジネスのグローバル化への対応
- グローバルビジネスでの競争力の強化
イノベーションとは
それでは、ダイバーシティ経営でよく使われるイノベーションとは何でしょうか?
イノベーションは一般的に新しい技術や物の発明を指しますが、ダイバーシティ経営で使われるイノベーションはより広い概念で、新しいアイデアや考え方を取り入れ、新しい価値を創出し、社会的に大きな変化をもたらす人・組織・社会の幅広い変革を意味しています。
この広い概念は、オーストリアの著名な経済学者のヨーゼフ・シュンペーターによって提唱された経済理論の中で定義されたものです。シュンペーターは、5つのイノベーションの結合による画期的な改革が経済発展に必要であると提唱しました。その5つのイノベーションとは;
- プロダクト・イノベーション: 新しいまた品質改良による新しい製品・サービスの創出
- プロセス・イノベーション: 新しい生産方法の導入
- マーケット・イノベーション: 新しい販路の開拓、または新しい市場への参入
- サプライチェーン・イノベーション: 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
- 組織イノベーション: 新しい組織の実現 また働き方改革
イノベーションを生むダイバーシティ経営
ダイバーシティ経営は、多様な人材活用戦略を使って、イノベーションを生むことでグローバル競争を勝ち抜くための経営戦略なのです。
多様な人材が異なる分野の知識、経験、価値観を持ち寄ることで、新しい発想につながり、新しいもの、そしてサービスを開発するプロダクト・イノベーションを実現し、海外進出を含めた市場開拓をするマーケット・イノベーションを実現、そして多様な人材が能力を発揮できる働き方を追求することで、組織イノベーションが起き、それによって、効率性や創造性が高まりプロセス・イノベーションそしてサプライシェーン・イノベーションが起きるということとなります。
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ダイバーシティ経営を推進する方法
ダイバーシティ経営は、日本企業のグローバルビジネスでの競争力を高める経営戦略と位置付けられます。実際にダイバーシティ経営を推進するためのポイントを見ていきましょう。
1.一貫した経営戦略の設計・構築
ダイバーシティ経営推進のための戦略は、経営全体の方向性に合わせて設計される必要があります。
まずは自社が今置かれた環境の中でどのような競争優位の確立を目指すのか、そしてその実現のためにどのような経営戦略を立てるのか、その実行のためにどのような人材を確保し、どのように配置し、どのようなミッショ ンを与え、どのようなマネジメントにより成果を上げるのか、といったような戦略を一貫したものとして構築する必要があります。
2.多様な人材が活躍できる土壌づくり
戦略を成功させるには、まずはダイバーシティ経営を従業員が受け入れられるような土壌づくりや、ビジョンの浸透が必要です。
グローバル人材確保の方法の1つとして取り上げた人材育成の記事でも書きましたが、イノベーションを創出するためには、多様な人材を確保するだけでなく、多様な人材が活躍できる土壌作りが大切です。
土壌作りとして取り組むべきポイントは、制度作り、環境作り、育成、意識改革の4つです。
- 人事制度:人材採用、人事評価制度、人事配置という多様な人材を確保し、活躍できる配置をする制度の整備
- 勤務環境や体制整備:多様な人材が働けるような環境作りとして、よく話題にされる働き方改革
- 意識改革:多様性を受容できるように従業員の意識改革
- 能力開発:研修、スキル開発の整備:人材育成
ダイバーシティ経営の成功例
世界有数の金融データプロバイダーであるリフィニティヴが発表した、2020年の世界で最も多様性と受容性を備えた企業の上位100社の中に、日本企業ではソニー、資生堂、野村ホールディングスの3社が選ばれています。
また、経済産業省はダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業の先進的な取組を広く紹介するため「新・ダイバーシティ経営企業100選」として、平成24年度から毎年経済産業大臣表彰を実施し、ダイバーシティー経営を日本企業に広めようという試みがされています。
( 経済産業省ホームページ:https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/index.html)
まとめ
日本では少子高齢化により、企業が更なる市場を求めて海外に進出しています。そして、グローバルビジネスで成功するためには競争力を高める必要があります。
その方法として、海外進出に成功するために注目されているのが、グローバル人材やグローバルモビリティ、そしてダイバーシティ経営です。一つ一つについては、様々な記事が書かれていますが、これらを結び付けて説明している記事が少ないので、関連性が分かりづらいかもしれません。
今回の一連の記事で関連性をより理解していただき、海外進出に成功するためのアイデアとして取り入れていただけけたら幸いです。次回はダイバーシティ経営に成功している会社の事例をご紹介します。
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【この記事を書いた人】
濱田幸子
20年以上世界4大会計事務所の1つアーンストアンドヤング(EY)のジャカルタ事務所のエグゼキュティブダイレクターとして、ジャパンデスクを率い、日系企業にアドバイザリーサービスを提供。またジャカルタジャパンクラブで、税務・会計カウンセラー、及び課税委員会の専門員を務め、日系企業の税務問題に関わってきた。現在は日本在住。海外滞在歴は30年、渡航国はアジア、欧州、北米の38か国、480都市以上に及ぶ。 国際基督教大学大学卒。英国マンチェスタービジネススクールでMBA取得。
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