【移転価格税制】課税リスクを回避する

この記事は2021年2月7日に書かれました。

■移転価格税制とは

移転価格税制は、企業が海外子会社などとの取引を利用して日本での課税所得(利益)が少なくなるよう操作することを防ぐ制度です。 移転価格税制について詳細はこちらをご覧ください。
企業が海外子会社により多くの利益を移し、日本での法人税を少なくすることを目的に価格を操作することを阻止するため、国税当局は取引価格が適正かどうかを判断しています。もし取引価格に問題があると見なされた場合は、利益を再計算し、追徴課税が発生します。
移転価格税制をめぐっては、先に紹介しているホンダ訴訟のほか、アドビ事件など国内でもいくつか裁判が行われています。

■何が問題なのか

移転価格税制と一口に言っても、その仕組みは複雑で、多くの企業がその分かりにくさを指摘してきました。
また、現在の手続き方法では、国税側が取引内容を調査するのは事後的となっています。
国税局は価格が適正だったかどうかを判断し、問題があれば追徴課税が発生しますが、価格の適正さや利益の計算方法について、当局と企業の主張が対立する場合もあります。
どんなに事前に入念な調査と対策を行っていても、当局と企業の判断が異なる可能性は十分にあり得るのです。
取引規模によっては、追徴課税が莫大な額となるだけではなく、裁判となった場合は最終的な判決までに数年以上かかるなど、多くの時間とお金を費やすこととなるケースも考えられます。

■相談窓口が開設

2017年7月、企業からの指摘などを受け、全国の国税局に相談窓口が開設されました。
それまでにも事前確認をとる方法はありましたが、子会社がある国の税務当局と協議をする場合もあり、回答を得るまでに2年程度かかっていました。
新設された窓口は海外との協議を行わないため、数ヶ月程度での回答を目指すとしています。
企業は提出された取引の概要などの書類を提出。国税局は、他社の同種取引などを参考にしながら価格などに問題がないかを判断し、企業に回答します。また、既に行われた取引も対象としています。
相談窓口を利用することで企業は課税リスクを回避することができ、海外事業を進めやすくなります。

■利用方法

窓口は東京や大阪など全国12ヶ所の国税局・事務所に設置されています。
海外子会社などとの取引が年間で50億円以上ある企業が対象、相談は予約制となっています。
納税地の管轄国税局および担当窓口については、国税庁のウェブサイトをご参照ください。

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