この記事は2020年11月16日に書かれました。
進出しようとしている対象国の外資規制について、全体像を理解する為には以下の内容を確認する必要があります。
- 禁止業種:
進出しようとしている業種が禁止されていないか(例:軍需産業や遺跡に関わる産業など) - 規制業種:
進出しようとしている業種がこれに含まれている場合、どのような形態なら進出可能なのか(リストをチェック) - 出資比率:
100%出資できるのか、上限が定められているのか(店舗の床面積によって違う場合も) - 土地所有:
土地所有が可能かどうか(工場を建てる場合など) - 資本金 :
資本金や投資額の下限が決められている場合も
今回はインドネシアとマレーシアの外資規制についてご紹介します。
この記事の目次
目次
■インドネシア
1ルピア=0.0074円(2020年11月16日現在)
1.禁止業種
「2007年新投資法、大統領規程2016年44号」により禁止されている業種
- 酒類製造
- 珊瑚の採取
- その他、国防産業、賭博、遺跡、大麻栽培など
2016年のネガティブリストにより禁止業種に追加された業種
■外国資本の参入を禁止している業種
- 小規模農園(農産物により規定が異なる)
- 大豆を使った食品産業
- ラタン等を用いた編物産業
- 工事金額が500億ルピア以下等の建設実施、
- 工事金額が100億ルピア未満等の建設コンサルティングサービス等
■内資100%に限定されている業種
- 石油ガス採掘・供給等の一部サービス
- 1MW以下の発電
- デパート、スーパーマーケット、ミニマーケット以外の小売
- レンタル(輸送機、建機、農機など)
- 美容室・理髪店
2.規制の種類
規制の種類は下記4つに分けられています。業種によっては、出資比率以外の規制を受けるものがあります。
- 中小・零細企業、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野
- 外資比率が制限される分野(ローカル企業との合弁義務)
- 地域が限定される分野
- 管轄省庁からの特別許可を要する分野
進出しようとしてる業種が上記の規制対象に含まれるかは、ジェトロが反訳しているリストから確認することができます。
ジェトロ:大統領規程2016年第44号(252KB)
(ジェトロ仮訳:2016年5月31日付)
ジェトロ:大統領規程2016年第44号添付書類リスト(2016年ネガティブリスト)(587KB)
(ジェトロ仮訳:2016年5月31日付)
3.外資による出資可能な比率(業種別)
- 製造業:
原則、外国資本100%の出資が可能(医療機器など一部分野除く) - 卸売業:
外資上限67% - 小売業:
デパート、スーパーマーケット、ミニマーケット(コンビニエンスストア)のみ出資可
※小売業に関しては、さらにネガティブリストにて店舗面積の下限が定められています。 - 流通業:
陸上輸送は外資上限49%、海上輸送は外資上限49%、倉庫業は外資上限67%(ただし、コールドストレージは外資100%可)。 - 外食(レストラン):
外資100%可 - ホテル:
3つ星以上の場合、外資100%可。2つ星以下の場合、外資上限67%。 - 職業訓練:
外資上限67%。 - 人材派遣(インドネシア人労働者に対する海外の職業斡旋):
外資不可。
4.資本金に関する規制
外国投資(外国法人・個人による投資)は、製造業・非製造業の区別なく、土地建物を除く投資額の合計が100億ルピア、引受資本金と払込資本金は同額で25億ルピア以上を満たす必要があるとされています。
また、各株主の出資金額は1,000万ルピア以上〔投資許認可の指針と手順に関する投資調整庁長官規定(2018年第6号)の第6条2項、3項、4項〕としています。
■マレーシア
1リンギット=25.43円(2020年11月16日現在)
1.禁止業種
- 小売り(スーパーマーケット、ミニマーケット、食料品店、新聞販売店、雑貨品の販売店等、薬局(伝統的なハーブや漢方薬を取り扱う薬局)等
- ガソリンスタンド
- 常設の市場(ウェットマーケットや歩道店舗)
- 国家戦略的利益に関与する事業
- 布地屋
- レストラン(高級店でないものやビストロ)
- 宝石店
2.外資による出資可能な比率(業種別)
マレーシアでは出資可能な比率が業種によって細かく定められています。
- 国家権益に関わる事業(水、エネルギー・電力供給、放送、防衛、保安等):
外資上限を30%または49% - 製造業:
ほとんどの業種で100%外資が認められていますが、製造ライセンスが必要。
各種証明書発行に関する申請や書式に関してはマレーシア投資開発庁(MIDA)を参照 - 運輸、教育、石油関連製品の販売等:
各関係法令に基づくライセンスが必要。 細かい資本条件は所轄官庁が定めています。 - 金融業:
外資規制はありませんが、5%以上の株式を取得する場合には、外資・内資にかかわらず、マレーシア中央銀行の事前承認が必要。 - その他流通・サービス業など:
2020年2月にガイドラインが改訂され、以下3つに分けて規制されるようになりました。
(1)資本規制が設けられていない(100%外資による参入が可能である)業種
(2)外資の参入が可能だが資本規制がある業種
(3)外資が参入できない業種
(1)資本規制が設けられていない業種(ただし、最低資本金条件等はあり)
- デパートメントストア*
- スーパーストア
- 専門店
- 流通センター(Eコマースのフルフィルメントを含む)
- その他の流通形態
*デパートメントストアは、1000平方メートル以上または総面積の15%以上(最大でも5,000平方メートル未満)のスーパーマーケットを持つことができる。
(2)外資の参入が可能だが資本規制がある業種
- ハイパーマーケット:
資本の30%以上をブミプトラまたはマレー系が保有しなければならない。 - コンビニエンスストア:
資本の30%以上はブミプトラまたはマレー系が保有しなければならない。
外資はフランチャイズ方式で参入しなければならないが、全体の30%までは直営店が認められる。
(3)外資が参入できない業種
- スーパーマーケット/ミニマーケット
- 食料品店/一般販売店
- 新聞販売店、雑貨品の販売店
- 薬局(伝統的なハーブや漢方薬を取り扱う薬局)
- ガソリンスタンド
- 常設の市場(ウェットマーケット)や歩道店舗
- 国家戦略的利益に関与する事業
- 布地屋、レストラン(高級店でない)、ビストロ、宝石店など
3.100%外資が認められている会社
次のようなステータスを取得した会社には、100%外資が認められています。
- マルチメディア・スーパー・コリドー(Multimedia Super Corridor:MSC)ステータス会社。
- イスカンダル地域開発庁(Iskandar Regional Development Authority:IRDA)によりステータスを承認された会社で、当該開発地域内で事業を行う会社。
- 政府により定められた開発地域において、管轄する州当局によりステータスを承認された会社で、当該開発地域内で事業を行う会社。
- マレーシア国際イスラム金融センター(Malaysian International Islamic Financial Centre:MIFC)の事務局から承認を得た会社。
- 国際貿易産業省(MITI)、財務省(Ministry of Finance:MOF)、その他の省により、国際調達センター(International Procurement Centre:IPC)、経営統括本部(Operational Head Quarters:OHQ)、プリンシパル・ハブ等のステータスを承認された会社*
*2015年5月1日をもってIPCとOHQの新規申請の受付は停止され、「プリンシパル・ハブ」というステータスおよび優遇措置に置き換えられました。
※「プリンシパル・ハブ」の詳細については、ジェトロに掲載されている「外資に関する奨励」の項を参照。
◇マレーシアにおける各業態の定義
- ミニマーケット…販売フロア面積が3,000平方メートル未満であるもの
- スーパーストア…売場面積が3,000平方メートル以上5,000平方メートル未満で、多様な消費財を中心に販売するセルフサービス方式の店舗を指す。
- 特別市または一般市では、1,000平方メートル以上での出店も認められる。
- ハイパーマーケット…売場面積が5,000平方メートル以上で、多様な消費財を中心に販売するセルフサービス方式の店舗。
- コンビニエンスストア…24時間営業で回転の速い品目を販売する、180平方メートル以下の店舗。
マレーシアでは、サービス産業を経済成長のけん引役として重要視し、サービス産業の自由化を段階的に進めています。
自由化されているセクターについては、国際貿易産業省(MITI)のAutonomous Liberalisationで確認できます。
より詳しい情報については、ジェトロの各国の規制についてをご確認ください。
【参照元】
JETRO 外資に関する規制(インドネシア、マレーシア)
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2020年 11月 16日
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