【基礎から解る】海外進出する際に知っておくべきこと-外資規制とは?

この記事は2020年11月9日に書かれました。

外資規制とは?


外資規制とは、外国人または外国企業による国内投資を制限する規制です。

  • 外資規制を行う理由は、自国の重要な資源や資産を他国に取られないようにするためです。
  • 業種や土地所有、その国で現地法人を設立する場合には、出資比率や資本金にも規制が及ぶ可能性があります。
  • これら外資規制の内容は各国によって異なるため、間違いなく投資するためには事前の調査をする必要があります。

今回は、外資規制が多い東南アジアのASEAN諸国の中で、日本からの投資が多いインドネシアの外資規制についてお話しします。

インドネシアの外資規制


インドネシアは世界第4位の人口2億6,416万人 (2018年国家統計局推計より)を抱える、石油、石炭、天然ガス、パーム油を産出する豊富な資源国で、その潜在性から日本からの投資が常に多い国です。

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潜在性の高さから投資に大変魅力のある国ですが、インドネシアへの投資で気を付ける点としては、法規則の運用の不透明さと税金問題の多発がよく挙げられています。

実際に法規制はよく変わり、その1つの外資規制も頻繁に変更になります。インドネシアの外資規制はネガティブリストという投資規制対象業種リストで公表されています。そして、そのリストは経済の状況により変更されてきました。

特に日本企業に多く影響がある外資規制で、企業の頭を悩ませてきたのが輸入のできるディストリービューター(セールス会社)への規制です。

元々インドネシアではセールス会社の設立は外資規制で認められていませんでした。その為日系企業は駐在員事務所として活動をしていましたが、1998年に輸入のできる100%のセールス会社を設立することが認められるようになり、多くの商社や製造会社が国内販売のために販売会社を設立しました。

インドネシア経済は2010年代に入ると毎年5%以上の急成長を遂げましたが、その裏返しとして、最低賃金が急上昇し、また移転価格などの税務問題も2010年から起き始めたため、安価な労働力を求めた輸出型製造拠点としての魅力が少なくなりました。しかし今度はインドネシアの巨大マーケットの内需の潜在性に目を向けた投資が進み、今までは地場の会社を通じて国内販売をしてきた多くの日本企業が、独自のセールス会社を設立しました。その中で、2014年に、ディストリビューターへの外資投資が33%に制限されました。

元々外資企業に期待されていたものは製造で、ディストリビューション及び小売はインドネシア企業のものでしたのでしたので、外資企業の動きに危機感を持ち、国内企業の保護にかかったのだと考えられています。

しかし、あまりにも急な方向転換で諸外国より反発が多く、2016年の改訂ネガティブリストでは、製造会社資本関係のあるディストリビューターは100%まで(資本関係のないディストリビューターは67%)と改訂されています。つまり外資系製造会社が製造したものを売るセールス会社は認められ、輸入にのみのセールス会社に規制を設けたことになります。

インドネシアへの進出のポイントと対策


インドネシアでは法令がよく変わります。法令が出てそれに対応した途端また法律が変わってしまう、ということも珍しくありません。インドネシアにはパブリックコメント制度がないため、先ず規則を出し、パブリックの反応をみて変更するということが行われています。しかし、一度出した法律が取り下げられるということは滅多になく、実施令で変わったり、または法律は出たが、実施令を出さないので実施されない、また時には全く違う規則に変えられたりすることもあります。ですので、新しい法律がでた場合にはその実施状況を見ながら対応していくことが大切です。

Unsplash

それでは、現状でインドネシアに輸入セールス会社を設立したいという場合、どのような手段があるか考えてみましょう。

  • 33%を持ってもらうローカルパートナーを探す。
  • 以前設立された外資100%の会社を買い取る。

二番目の方法が可能になるのは、“グランドファーザークローズ”という言葉があり、規則が変わる前に設立された会社は外資規制の変更に影響を受けないことになっているからです。

現在コロナ渦の下、2020年の経済成長率はマイナスになるとIMFが推定しています。一方インドネシアは巨大な人口を持つ国で、今後も内需の潜在力のある国であることは間違いありません。

しかし外資規制の変更など予期できない事態の急変も多い為、投資の際には十分な事前調査が必要です。事前調査や市場調査の効果的な方法については、別の記事で説明したいと思います。

[参考資料]
インドネシアの経済成長率と最低賃金の上昇率

*数値はIMFによる2020年10月時点の推定値

[参照元]
ネガティブリスト:
 2014年4月23日付大統領規定2014年第39号
 2016年5月18日付大統領規定2016年第44号
最低賃金の上昇率: JETROビジネス短信から
経済成長率   :IMF – World Economic Outlook Databases (2020年10月版)

[画像]
Unsplash


【この記事を書いた人】

濱田幸子

 20年以上世界4大会計事務所の1つアーンストアンドヤング(EY)のジャカルタ事務所のエグゼキュティブダイレクターとして、ジャパンデスクを率い、日系企業にアドバイザリーサービスを提供。またジャカルタジャパンクラブで、税務・会計カウンセラー、及び課税委員会の専門員を務め、日系企業の税務問題に関わってきた。現在は日本在住。海外滞在歴は30年、渡航国はアジア、欧州、北米の38か国、480都市以上に及ぶ。 国際基督教大学大学卒。英国マンチェスタービジネススクールでMBA取得。

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