- 2020-11-16
- 外資規制, 外資規制まとめ, 海外進出
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この記事は2020年11月16日に書かれたものです。
進出しようとしている対象国の外資規制について、全体像を理解する為には以下の内容を確認する必要があります。
- 禁止業種:
進出しようとしている業種が禁止されていないか(例:軍需産業や遺跡に関わる産業など) - 規制業種:
進出しようとしている業種がこれに含まれている場合、どのような形態なら進出可能なのか(リストをチェック) - 出資比率:
100%出資できるのか、上限が定められているのか(店舗の床面積によって違う場合も) - 土地所有:
土地所有が可能かどうか(工場を建てる場合など) - 資本金 :
資本金や投資額の下限が決められている場合も
今回はタイとベトナムの外資規制についてご紹介します。
この記事の目次
目次
■タイ
1.禁止業種
2.出資比率について
3.土地所有
4.資本金に関する規制
■ベトナム
1.禁止業種
2.規制業種
3.出資比率
◇マレーシアにおける各業態の定義
■タイ
1バーツ=3.47円(2020年11月16日現在)
1.禁止業種
外国人事業法(1999年改正、2000年3月施行)に基づき、外国企業(外国資本50%以上)規制業種を以下の3つに分類して参入を規制しています。
(1)外国企業の参入が禁止されている業種
(2)国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として、
外国企業の参入が禁止されている業種
(3)外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして、外国企業の参入が禁止されている業種
(1)外国企業の参入が禁止されている業種
- 新聞発行・ラジオ・テレビ放送事業
- 漁業(タイ海域・経済水域内)
- タイ薬草の抽出
- 骨董品(売買・競売)
- 仏像および僧鉢の製造・鋳造
- 土地取引 等
(2)国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として、
外国企業の参入が禁止されている業種
※内閣の承認により、商務大臣が許可した場合は可能
- 安全保障関連ビジネス
- 文化・工芸に影響を与えるビジネス:
骨董品・民芸品販売、木彫品製造、養蚕・絹糸・絹織布・絹織物捺染、タイ楽器製造等 - 環境・天然資源に影響を与えるビジネス:
サトウキビからの精糖、製塩、家具および調度品の木材加工 等
(3)外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして、外国企業の参入が禁止されている業種
※外国人事業委員会の承認により、商務省事業開発局長が許可した場合は可能
- 漁業(養殖)
- 建築設計サービス
- エンジニアリングサービス
- 代理・仲介業
- 最低資本金1億バーツ未満または1店舗あたり最低資本金2,000万バーツ未満の小売業
- 1店舗あたり最低資本金1億バーツ未満の卸売業
- 広告業
- ホテル業(ただし、マネージメントを除く)
- 飲食物販売 等
2.出資比率
タイでは、前述した3分類によって出資比率が規制されています。
(1)外国企業の参入が禁止されている業種:
タイ国籍者が全体株式の51%以上を保有しなければならない。特別経済開発区にある中小企業も対象となる。
(2)国家安全保障または文化、伝統、地場工芸、天然資源・環境に影響を及ぼす業種として、
外国企業の参入が禁止されている業種:
外国人に株式の大多数または全数の所有を認めています。ただし、他の法令により規制される場合は除外されます。
(3)外国人に対して競争力が不十分な業種であるとして、外国企業の参入が禁止されている業種:
外国人に株式の大多数または全数の所有を認めています。ただし、他の法令により規制される場合は除外されます。
3.土地所有
原則として、外国人および外国企業は土地の取得が禁止されています。
ただし、BOI奨励企業や、タイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業や、4,000万バーツ以上の投資などの条件を満たした場合は、土地の取得を可能としています。
4.資本金に関する規制
外国企業(外国資本50%超)の最低資本は200万バーツ以上が必要です。ただし、外国人事業法の規制業種に基づく、特別の認可を取得する必要のある業種の場合は、原則として最低資本は300万バーツ以上としています。
タイ企業(タイ資本50%超)に関しては、最低資本の規則はありません。
■ベトナム
1ドン=0.0045円(2020年11月16日現在)
1.禁止業種
- 人身売買、売春事業
- 化学物質、鉱物に関する事業
- 爆竹販売に関する事業 等
ベトナムで投資・経営活動を行う場合は、投資家の国籍に関わらず、投資法67/2014/QH13(2015年7月1日より有効)に従うこととなっています。
投資法では、投資禁止および経営禁止分野と条件付き経営投資分野について明記しています。
また、2021年1月1日に投資法の改正を予定しており、これによりスタートアップやハイテク技術関連への投資が優遇されるようになるとされています。
詳しくは『ベトナム2020年投資法(法律番号 61/2020/QH14)』(JICA仮訳)をご確認ください。
2.規制業種
卸売業、小売業、物流等は営業許可証が必要となっています。許可証の取得には以下の条件が設定されています。
- ベトナムが加盟する国際条約における市場進出条件を満たす。
- 営業許可証の取得要件を満たす財務計画を有する。
- ベトナムでの会社設立後1年以上が経過し、繰延税金負債を有しない。
※投資家がベトナムが加盟する国際条約の加盟国・地域に属さない場合は、許可証の取得条件が異なります。
外国企業が小売店舗を設立する場合は、以下の条件を満たし、設立許可証を取得する必要があります。
- 1店舗目の設立:
(1)小売店舗の運営に関する財務計画を有する。
(2)ベトナムでの会社設立後1年以上経過している場合は、繰延税金負債を有しない。
(3)小売店舗の設立住所が、行政計画に適合している。
※2店舗目以降を設立するには追加の条件があります。
検討中の業種の規制内容はジェトロの『各事業分野での規制』で確認することができます。
3.土地所有について
外資系企業あるいは事業協力契約の外国当事者は、土地を所有することは認められていません。そのため、ベトナム政府から土地使用権を取得する形となります。
4.資本金に関する規制
ベトナムでは多くの業種が、合弁会社の設立および事業協力契約の締結のみを認めており、外国投資家による100%外資企業の設立は許可されていません。
- 法定資本が必要となる業種:
不動産業、警備サービス業、通信業、労働者派遣業 等
- 出資比率に制限がある業種
- Webコンテンツサービス:
ネッ トワークインフラを備えない場合…合弁会社の資本金の 65%以下
ネッ トワークインフラを備える場合…合弁会社の資本金の 50%以下 - 通関サービス:合弁会社における外国側の出資比率の制限は無し
- 映画配給、映画上映:合弁会社の資本金の51%以下 等
- Webコンテンツサービス:
より詳しい内容についてはジェトロをご確認ください。
外資に関する規制:タイ、ベトナム
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2020年 11月 16日
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